自分の個性・性格の本質を知る
エニアグラムという言葉はギリシャ語で、「エニア」は数字の「9」、「グラム」は「図」を意味します。つまりエニアグラムは、円周上に9つの点とそれを結ぶ線からできている図形のことです。
この図形の9つの点に、人間の性格タイプを結び付けたものが性格論としてのエニアグラムです。人間は誰もが9つの性格の素質を備えていますが、その人の性格の本質(タイプ)は一つです。
エニアグラムの大きな目的は、自分自身がどういう人間であるかを知り、自分自身の内面の仕組みを知ることです。
自分のタイプを発見できれば、普段、自分が人に見せている部分や見せたくない部分も含めて、本当の自分に出会うことができます。そして、自分のタイプが自分自身をどう見ているかという「自己感覚」に気づきます。
エニアグラムの9つのタイプにはそれぞれ固有の動機があり、私たちの行動や態度は、無意識のうちにこの動機によって特徴づけられています。
自分は「どのような動機によって態度に表わしたり、行動したりしているか」を知ることによって、自分自身を整え、自己成長の道を発見することができるようになります。
エニアグラムの歴史
エニアグラムという人間の性格を分類する概念がどこで生まれたのか、歴史はまだハッキリとわかっていません。
エニアグラムの「図形」というシンボルと「9つの性格タイプ」の概念とは、切り離して考えます。
エニアグラムの図形は、約4500年以上前の古代のものであり、起源は古代ギリシアにあるとも、古代エジプトにあるとも言われていますが、直接的な証拠は見つかっていません。この図形は宇宙万物の本質を表す象徴なのです。図形の背後にある考えは、古代ギリシャのピタゴラス、プラトン等やその弟子の哲学者の考え方に見られます。
エニアグラムの図形を今日にもたらした人は、ゲオルギー・イワノビッチ・グルジェフという学者です。彼はギリシャ系アルメニア人で1875年誕生の人です。グルジェフはアフガニスタンか、トルコ辺りでエニアグラムの図形と出会ったようで、宇宙における自らの位置と、人生における目的を理解する助けとなることをエニアグラムに求めて研究し、弟子達に教えました。しかし、それは性格タイプとして教えたものではなく哲学です。
1950年代になってオスカー・イチャーソ(ボリビア人)がエニアグラムの多くの要素を研究しているうちに、図形と性格タイプとのつながりを発見しました。天才的なひらめきによって、彼は多くの資料から今日のエニアグラムの基本形をもたらしました。
キリスト教の7つの大罪も研究し、人間の「9つの囚われ(passions)」を表しました。
(1)怒り(2)プライド(3)欺き(4)妬み(5)ため込み(6)恐れ(7)貪欲(8)欲望(9)怠惰
1970年、精神科医のクラウディオ・ナランホはイチャーソが米国でエニアグラムのセミナーを開いたときに学びました。その後もイチャーソから深く学んだナランホはカルフォルニア州のエサレン研究所で、生徒の自己実現の手助けとなるようにエニアグラムを教えました。
さらに、ナランホはカルフォルニア州バークレーでエニアグラムを教え、また北米全土のイエズス会でも教え、当時イエズス会の神学生であったドン・リチャード・リソも興味を覚え研究を始めました。
彼は心理学的な基盤を発展させ、「成長のレベル」(性格の発達段階)を発見したことによって、エニアグラムは精緻なものへと発展することになりました。心理学のタイプ論との相互関係を研究し、その成果を「Personality Types」(邦訳「性格のタイプ」春秋社刊)1987年に表しました。
日本では1989年に日本エニアグラム学会が設立され、エニアグラムを紹介してきました。そして、リソ氏とハドソン氏の理論に基づいて講義し、日本で初めて教えた「エニアグラム入門」春秋社の著者パトリック・オリアリー氏の理論も取り入れています。
「このように、エニアグラムは古い根に育った新しい木であるということが言えます。古代からの知恵に新しい心理学が導入されています。
また、人の心に深く語りかけてくるので受け入れやすく、日本でも人間関係改善のために学ぶ人が増え、教育・宗教・弁護士・医師、心理療法、大手企業の研修に導入するところが出ています。」
関西ではエニアグラム関西が中心となって、大阪市内でワークショップ・セミナーを開催しています。